性能評価と意義
設計者や販売者ではなく、第三者の評価機関がきちんと判定しているので、客観的な判断材料になります。性能が証明されていることは、資産価値が高まることにもつながるので、売却時にも有利に働くでしょう。経済的なメリットも。性能評価書を取得した住宅は、耐震等級に応じて地震保険料の割引を受けられるのです。割引率は等級1で10%、等級2が30%、等級3は50%です。建設性能評価を受けると、金融機関によっては住宅ローンの金利を優遇してくれることもあります。また、住宅ローン控除や、補助金など優遇制度を利用する時も、性能評価が役に立ちます。特に中古住宅の場合は、耐震性が利用の条件になっていることも多々ありますね。性能評価を受けて耐震性が確認されていれば、評価書を耐震性の証明書として利用することができます。フラット35を利用する際も、性能評価書があれば一部手続きが簡略化されるケースもあります。
*2000年4月、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)が施行され、「住宅性能表示制度」が創設されました。
*住宅の性能(耐震性、断熱・省エネ性、メンテナンスのしやすさなど)を、第三者機関が客観的に評価し、その結果を共通のルールのもとで表示する制度です。
*住宅性能評価は、性能表示における評価のことを指す言葉として使われます。
*評価結果は、「等級」として、数値で表示されます。“耐震等級”や“省エネ等級”も、住宅性能評価に従て表示されます。
評価を受けると、評価結果を記載した住宅性能評価書が発行されます。
*住宅性能評価には、設計段階で図面をもとに評価する設計性能評価、実際に建った住宅を検査して評価する建設性能評価の2種類があります。
住宅性能評価で評価されるのは、以下の10項目です。
(1)構造の安定 地震などの力が建物に加わった場合の、倒壊のしにくさ、損傷のしにくさを評価し、結果を耐震等級として表示します(最高等級3)。また、強風や積雪への強さについての評価もあります。
(2)温熱環境・エネルギー消費量 壁や窓の断熱性、設備のエネルギー消費量を評価します。以前は「省エネルギー対策等級」としてひとくくりに評価していましたが、今は「断熱等対策等級」(等級4が省エネ基準相当)と「一次エネルギー消費量対策等級」に分かれています。
(3)劣化の軽減 築年数の経過によって発生する、土台や柱の劣化を軽減する対策が、どの程度なされているかを評価します。
(4)維持管理・更新への配慮 水道やガスの配管の点検や交換が、容易にできるかどうかを評価します。共同住宅では、将来の間取り変更のために天井高なども評価します。
(5)火災時の安全 火災発生時、避難しやすく、燃え広がりにくいつくりになっているか、隣で火災が起きたときに延焼しにくいかを評価します。
(6)空気環境 いわゆるシックハウス対策に関する項目で、ホルムアルデヒド等の化学物質が含まれている建材をどの程度使用しているか、どのような換気設備が使われているかを評価します。
(7)光・視環境 東西南北、および上の5つの方向に、どのくらいの面積の窓が設けられているのかを評価します。
(8)音環境 共同住宅で、上下左右の住戸への音の伝わり方を評価します。
(9)高齢者等への配慮 段差をなくす、階段の勾配を緩やかにするなど、バリアフリー化にどの程度対応しているかを評価します。
(10)防犯対策 ドアや窓に、雨戸・シャッターや、防犯性の高い部品が設置されているなど、屋外からの侵入のしにくさを評価します。